デビュー40周年記念スペシャルインタビュー

デビュー40周年記念サイト創設&ベストアルバム『花とゆめ』発売記念
谷山浩子さんロングインタビュー

2012年でデビュー40周年を迎える谷山浩子さん。この40年間、楽曲リリースやライブといった自身の音楽活動はもちろんのこと、そのほかにも、アーティストへの楽曲提供、子ども向けの楽曲や絵本の執筆、音楽劇の脚本、演出、主演まで務めるなど、音楽という枠にとらわれない活動で多才な才能を披露してきました。そして、昨年は約4年ぶりのオリジナルアルバム『夢みる力』をリリース。多くのファンを喜ばせたことも記憶に新しいところです。デビュー40周年を迎えた今年は、様々な記念企画が用意されているなか、その第一弾としてまず、ベストアルバム『花とゆめ』が届けられました。これまで発表されてきた膨大な楽曲の中から33曲が選ばれ、花盤とゆめ盤に分けられ収録された、なんとも、谷山さんらしい企画です。ファンも納得の1枚となっていることでしょう。谷山さんデビュー40周年を記念して立ち上がった本サイトの第一弾コンテンツとして、ベストアルバム『花とゆめ』発売を記念した谷山浩子さんロングインタビューを掲載します。

夢は毎晩みていると思います。(インタビュー・文/長井英治)

--デビュー40周年おめでとうございます。いろいろな思いがあると思いますが、今の率直な感想をお願いします。

谷山:ありがとうございます。デビューが15歳のときなので、40年も音楽をやってきたというよりも、人生を長くやってきたんだなって思います(笑)。

--昨年のアルバム『夢みる力』のときのインタビューでは「散歩をしていたらいつの間にかここまで来ていたなというような感覚」とおっしゃっていましたが(笑)。

谷山:あとは終わりに向かってどうなっていくんだろうか? というのはあります。

--終わりは、人間誰もわからないですもんね。

谷山:そうなんですよ。今日かもしれないし、150歳かもしれないし……(笑)。

--できれば、150歳のほうでお願いしたいです(笑)。80年代の頃、メディアを通して見た谷山さんは、病弱なイメージがありましたが、今はタフな人じゃないかと思うんです。

谷山:20代の半ばくらいまでは本当に身体が弱かったんです。体調を崩してコンサートやキャンペーンを中止にしたこともありましたし、声が出なくなるような風邪を引いたりもしました。元々、骨も弱くて体力もないんですが、今は身体のケアの仕方が分かるようになりました。

--近年のイメージは昔とは違いますよね。

谷山:30歳くらいの頃のレコーディングのときの動画とか写真を見ると、スタジオの中でノースリーブのワンピース1枚とかなんですよ。あれはヤバイ。そんな格好ではダメですよね(笑)。身体を冷やすのはよくないですから。タイムマシーンがあったら若い頃の自分に言ってやりたいことが山ほどあります! いや、でも当時はそのおかげで痩せていたんですけど……(笑)。

--昨年、谷山さんのカタログ25作品が紙ジャケで再発されました。どう聞かれましたか。例えば、高音質CDはいかがでしたか。

谷山:昔の曲だけど、やはり今風の空気になるんだなと思って、新鮮でした。レコード時代はレコードの良さがありますが、高音質になったらまたその良さがありますね。

--改めて自分の中で評価が変わったことはありましたか。

谷山:声に関してのことですね。わたしは、ずっと長いこと、デビュー当時の声が嫌いだったんです。最近それが好きになってきました。あのまっすぐな感じがいいなと。

--意識的に歌い方や声を変えていった時期というのはいつ頃ですか。

谷山:デビューした頃も、意識的に歌い方を作っていたと思うんです。でも歌い方って本人がどのように作ろうとも、そのときの精神状態が出てしまうんです。デビュー当時の声は少し暗いですよね。ちょっと無力な感じで。でも今聴くとそれが色っぽい。逆にそのあとの、『水玉時間』あたりから数枚のアルバムの声が今、聴けないんです。可愛いほうに振れすぎちゃっていて、そこまでやらなくてもいいんじゃない? と思ったり。ちょうど、ラジオの「オールナイトニッポン」をやっていたときの喋り方を流用していたところがあって、今で言う「萌え声」を好きなお客さんが多かったので、わりと意識して声を作っていたんです。

--当時は「萌え」なんて言葉なかったですもんね(笑)。

谷山:「オールナイトニッポン」をやっている頃にやっと、「オタク」という言葉が出てきたくらいの時代でした。総合的に見て、歌い方や声の出し方が自然になってきたと思うのは、『銀の記憶』や『しまうま』のあたりですね。

--この度ベストアルバムがリリースされるわけですが、谷山さんは他のアーティストのベストアルバムって聴いたりしますか。

谷山:邦楽のアーティストのCDをたまに買います。オリジナルアルバムが何枚も出ていると、どれを買っていいのかわからないですし、全曲を知らなくても、有名な曲が聞ければいいかなというときは、ベストは便利ですよね。総合的に気に入っているのはスピッツです。

--谷山さんは今までに年代別ベストの他にもベスト盤を出されていますよね。中でも、個人的には『眠れない夜のために』が大好きなんですが、谷山さんはいかがですか。

谷山:当時「オールナイトニッポン」から人気が出だした頃で、アルバムも売れるようになったんです。そういう時期だったので、ディレクターの方から、「すぐに新作を出したい」と言われたんですが、「忙しいのですぐに曲は作れない」と言ったら機嫌が悪くなっちゃって……(笑)。じゃあ、「オリジナルじゃなくてもいいから、何かレコードを出したい」と言われて作ったアルバムが『眠れない夜のために』だったんです。ピアノの弾き語りだし、地味なアルバムになると思っていたんですが、それが逆に好評だったんです。嬉しかったですね。

--いいアルバムだと思います。また、2005年発売の『白と黒』は、ロングセールスを記録しているそうですが、あのベストで谷山さんの存在を知った人も多いと思います。

谷山:代表曲を詰め込んだベストでしたからね。ちょっと変わったコンセプトのベストでした。普通「楽園のリンゴ売り」はベストには入らない曲ですからね(笑)。

--「黒・谷山」ならではの選曲ですよね。個人的には、「白・谷山」ファンなんですが、それは邪道ですか(笑)。

谷山:そんなことはないですよ。それはファンの方それぞれですからね。黒好きの人のほうが、白の人に比べて声が大きいというか(笑)、好きであることを語る人が多いかもしれませんね。アンケートを見ると白と黒のファンがほぼ半々なんですよ。

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★谷山浩子のオールナイトニッポン

1982年4月~1986年4月まで木曜日の2部を谷山浩子が担当した、伝説のラジオ番組。このラジオ番組から谷山浩子の人気が上昇。アルバム「たんぽぽサラダ」がヒットに。この番組から、彼女のファンになったリスナーも多い。

★花とゆめ

谷山浩子、40周年のベストアルバムと同タイトルの少女コミック誌。1974年に創刊されたこの少女漫画からは多くのヒット作を輩出。現在でも少女漫画の売上ではトップクラスの売上を誇る。谷山浩子がこの少女漫画を読むきっかけになったのは「ガラスの仮面」の16巻までを一気に読んだことから。

★ファンタジーロックフェス2012

世界中のゲーム・ファン/アニメ・ファンに愛された、日本を代表するクリエイターたちが 共演する唯一の音楽イヴェント。このイベントに谷山浩子は「元祖 日本のファンタジーポップの歌姫」としてゲスト出演を果たす。

★白と黒

2005年に発売された驚異のロングセラーを誇る谷山浩子の2枚組ベストアルバムのタイトル。ファンの間では無垢な世界観「白谷山」と大人の童話的シュールな世界観「黒谷山」に分類されることがあることからこのアルバムの発売が実現した。

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