谷山浩子 Discography Guide

文/長井英治

漂流楽団

1995年9月21日

キャニオン/AARD-VARK
PCCA-00801

紙ジャケットシリーズ
2011/9/14
ヤマハミュージックコミュニケーションズ
YCCW-10151
(Blu-spec CDTM仕様)

  1. 風のたてがみ
    作詞:谷山浩子 作曲:谷山浩子
    編曲:丸尾めぐみ
  2. 真昼の光は嘘をつく
    作詞:谷山浩子 作曲:谷山浩子
    編曲:石井AQ
  3. 漂流楽団
    作詞:谷山浩子 作曲:谷山浩子
    編曲:斎藤ネコ
  4. SAKANA-GIRL
    作詞:谷山浩子 作曲:谷山浩子
    編曲:斎藤ネコ
  5. 子守歌
    作詞:谷山浩子 作曲:谷山浩子
    編曲:石井AQ・谷山浩子
  6. 楽園のリンゴ売り
    作詞:谷山浩子 作曲:谷山浩子
    編曲:石井AQ・谷山浩子
  7. DOLL HOUSE
    作詞:谷山浩子 作曲:崎谷健次郎
    編曲:窪田晴男
  8. 見えない小鳥
    作詞:谷山浩子 作曲:谷山浩子
    編曲:山川恵津子
  9. ふたり
    作詞:谷山浩子 作曲:谷山浩子
    編曲:石井AQ・谷山浩子
  10. 七角錐の少女
    作詞:谷山浩子 作曲:谷山浩子
    編曲:石井AQ・谷山浩子

アルバム解説

阪神大震災や地下鉄サリン事件が起きた年として、人々の心に深く刻まれたであろう1年だった1995年。バブル崩壊後の日本にさらに暗い影を落とすような年であった。そんな年に発売されたのが『漂流楽団』だ。直接的な表現はないが、この二つの出来事が作品にも影響しているよう。表題曲「漂流楽団」には「~幻想の時代に 生まれた僕たちを 哀れかなしみ 楽の音はつづく~」というフレーズが出てくる。当時の消費社会を谷山さんは「幻想の時代」と表現したのではないだろうか。そして、「ふたり」という曲は鎮魂歌に聞えてくる1曲。歌詞に出てくる「あの日」というフレーズは、深読みをすれば、地震や事件のあった「あの日」を指しているように思える。サウンド面で特筆すべき点は、斉藤由貴に詞を提供した「DOLL HOUSE」。窪田晴男のアレンジでオシャレなサウンドに変身。こういうジャズっぽいサウンドも新鮮で、聴いているだけで楽しい気分になってくる。

谷山浩子さんの一言

「このアルバムは<コンシピオ・スタジオ>のイメージが強いです。生楽器の演奏者に入ってもらい、オーケストラで録音しました。ここまで大がかりなレコーディングはこのアルバムが最後だと思います。いろいろな方に参加してもらっているんですが、斉藤由貴ちゃんに書いた「DOLL HOUSE」は窪田晴男さんにアレンジしてもらいました。ゆったりとしたジャズのようなアレンジにしようと言われて、『絶対に歌えないな……』と思いながらなんとか歌った、思い出のある曲です」

しまうま

1996年11月7日

キャニオン/AARD-VARK
PCCA-01024

紙ジャケットシリーズ
2011/9/14
ヤマハミュージックコミュニケーションズ
YCCW-10152
(Blu-spec CDTM仕様)

  1. 裸足のきみを僕が知ってる
    作詞:谷山浩子 作曲:谷山浩子
    編曲:石井AQ・谷山浩子
  2. 夜の一品
    作詞:谷山浩子 作曲:谷山浩子
    編曲:石井AQ・谷山浩子
  3. きみが壊れた
    作詞:谷山浩子 作曲:谷山浩子
    編曲:石井AQ・谷山浩子
  4. 月が誘う
    作詞:谷山浩子 作曲:谷山浩子
    編曲:斎藤ネコ
  5. しまうま
    作詞:谷山浩子 作曲:谷山浩子
    編曲:斎藤ネコ
  6. ねこ曜日
    作詞:谷山浩子 作曲:谷山浩子
    編曲:谷山浩子
  7. 空のオカリナ
    作詞:谷山浩子 作曲:谷山浩子
    編曲:谷山浩子
  8. ハーブガーデン
    作詞:谷山浩子 作曲:谷山浩子
    編曲:谷山浩子
  9. 鳥籠姫
    作詞:谷山浩子 作曲:谷山浩子
    編曲:石井AQ・谷山浩子
  10. はじまりの丘
    作詞:谷山浩子 作曲:谷山浩子
    編曲:石井AQ・谷山浩子

アルバム解説

シマウマは草食動物で一般的にはおっとりした印象だが、加齢にともない気性が荒くなってくるので家畜にも適さないのだとか。そんなシマウマに谷山さんが自身を重ねたのがアルバムの表題曲の「しまうま」ではないだろうか。ぱっと聞いた印象は可愛らしい曲だが、実は谷山さんのリアルな叫びのような気がする。アーティスト谷山浩子のぶれなさを感じる1曲。このアルバムはLPのA面とB面のような構成で、1~5はスタジオ録音、6~9はホールを借りてのピアノ&歌一発録り。埼玉にある「田園ホール・エローラ」のベーゼンドルファ(ピアノ製造御三家のうちのひとつ)を使用したそう。6~9の4曲はすべて岩男潤子への提供曲というのも、面白い選曲。そしてラストの「はじまりの丘」でスタジオ録音に戻り、このアルバムは終わる。

谷山浩子さんの一言

「レコード会社から『予算がない!』と言われて作った最初のアルバム(笑)。生楽器が使えなくなってしまうし、スタジオは効率よく使わなければ、という雰囲気でした。『しまうま』といえば、当時のマネージャーを思い出します。ある日、レコーディング途中のマルチテープをマネージャーが家に持って帰ることになったんですが、翌日レコーディングの時間になってもスタジオに現れない。連絡も取れない。やっと連絡がついたと思ったら、暢気に『今、原宿で谷山さんのためにハーブティーを買っています』と(笑)。『ハーブティーはいいから早くマスターテープを持ってきて!』って……(笑)。スタジオの外にイスを出してマネージャーが来るのをみんなで待ち構えていた記憶があります(笑)。今となっては笑い話ですが、当時のディレクターは真っ青でした。アルバムの後半の4曲は、エローラ・ホールでレコーディングしています。埼玉の北越谷にあって、ひとりで電車に乗っていったんですが、行きの電車の冷房が効きすぎていて、首が凝って声が出にくくなってしまいました。ピアノの一発録りでしたが、素晴らしい音でレコーディングすることができました」