文/長井英治
1990年2月21日
キャニオン/AARD-VARK
PCCA-00044
紙ジャケットシリーズ
2011/8/17
ヤマハミュージックコミュニケーションズ
YCCW-10145
(Blu-spec CDTM仕様)
谷山さんの曲には「聴覚」で感じるだけではなく、「視・嗅・味・触」を含めた五感で賞味できる名曲が多く存在する。90年2月にリリースされたアルバム『冷たい水の中をきみと歩いていく』のタイトル曲はまさにそれを象徴するもので、この曲が流れると、5感すべてが刺激され、7月の日差しや静かな水のせせらぎ、水の匂いや強い日差しの木陰に涼やかに吹き抜ける風等々の感覚を体全体で感じ取ることが出来る。理屈抜きに美しいと思える曲で、ファン投票の上位に食い込むのもうなずける佳曲だ。このアルバムはほかに、斉藤由貴に提供した「LUNA」やファンの間でも人気の高い「銀河通信」を収録。全体的に透明感をイメージする曲が多い名盤ゆえ、アルバム1枚を通して聴いていただくことをオススメしたい。
「このアルバムから曲を先に作るようになりました。この頃は家のダイニングキッチンにキーボードを置いて、明け方に曲を作ることが多かったです。詞は当時モニタを依頼されていたアイデアプロセッサというソフトの使用練習を兼ねて書きました。どの曲もそれぞれ大好きで、個人的にも好きな1枚です。ジャケットはマカオで撮影した写真です」
1990年11月14日
キャニオン/AARD-VARK
PCCA-00119
紙ジャケットシリーズ
2011/8/17
ヤマハミュージックコミュニケーションズ
YCCW-10146
(Blu-spec CDTM仕様)
『眠れない夜のために』に続くオリジナルベストアルバム第2弾。70年代、80年代の名曲の中から選りすぐりの代表作が収録されている。タイトル曲「カントリーガール」は、シングルのみの発売でオリジナル・アルバムには未収録であった。改めて聴いてみると、「窓」「河のほとりに」「ねこの森には帰れない」「お早うございますの帽子屋さん」は、当時ニッポン放送で放送されていたラジオ番組「コッキーポップ」でよく流れていたし、「てんぷら☆さんらいず」は「谷山浩子のオールナイトニッポン」のテーマソングだった。ほかにも「風になれ~みどりのために~」はCMソングとしてテレビを通じでよく耳にしていた。70年代後半~80年代中盤にかけて、谷山さんの音楽がいかに自分たちの周りに日常的に流れていたか、ということを再確認する。それらの曲は今聞いてもまったく古くなっておらず、谷山さんの作り出す言葉とメロディの普遍性を感じることができる。個人的には、究極の癒しソングである「MOON SONG」が収録されているところがうれしい。
「オリジナルベストアルバムは自分で選曲しています。このアルバムもそうです。歌を録りなおしたり、編曲からやりなおしたりした曲もあります。ミックスダウンはイギリスで行ったんですが、エンジニアの方がエフェクト好きだったのでディレイがふんだんにかかっています。ちょうど、アルバムのレコーディングをしているときに、湾岸戦争が始まって、そのニュースをスタジオの庭で聞いたことを覚えています。ちゃんと日本に帰れるのかが心配だったんですが、何事もなく帰ることができました。ジャケット写真はベルギーで撮影しました」