文/長井英治
1985年6月5日
キャニオン/AARD-VARK
PCCA-00266
紙ジャケットシリーズ
2011/8/17
ヤマハミュージックコミュニケーションズ
YCCW-10139
(Blu-spec CDTM仕様)
谷山さんの声には人々の心の疲れを癒す何かが含まれていると思う。実際にライブに足を運び、生声に触れた瞬間、心や体の疲れが「スーッ」と消えていく体験を何度もしている。不思議と心と体が軽くなるのだ。オリジナルベストとされるこの作品集は、谷山さんの声の、癒し効果を味わえる1枚。このアルバムがリリースされた80年代中盤は、まだ「癒し系」「アルファー波」などという言葉は一般的ではなかった。世の中は、バブル全盛期。そんな言葉は求められてもいなかったのだ。それでも、癒しを求めている人はいたし、いつの時代にも「眠れない夜」はある。そんなときに、このアルバムを聴いていただきたい。心のコリが取れる場合もあるので、ぜひお試しを。手書きの歌詞カードにも注目。
「初のオリジナル・ベストとして発売した弾き語りアルバムです。ピアノの弾き語りだし、地味な印象だったんですけれど思いのほか好評でとても嬉しかったです。私の中では売れたアルバムです。ジャケットの絵は当時のキャニオンのディレクターさんが選んだんだと思うんですが、未だに謎なジャケットです(笑)。」
1985年10月5日
キャニオン/AARD-VARK
PCCA-00267
紙ジャケットシリーズ
2011/8/17
ヤマハミュージックコミュニケーションズ
YCCW-10140
(Blu-spec CDTM仕様)
ハイペースにアルバムをリリースしていた1985年の作品。いつも以上にファンタジックな印象の強いアルバムだ。アルバム『夢半球』に映っているジャケットの女の子は、実はこのアルバムに収録されている曲「少女は…Ⅰ」のイメージだと今回、谷山さん本人から初めて語られたことは衝撃だった(笑)。当時はまだCDではなく、LP時代だったにもかかわらず、14曲入りで組曲が二つも収録されているという、型破りな1枚。谷山さんにパンキッシュな部分を感じるのはこういうときである。「うさぎ」はコント55号の番組「たみちゃん」に出演していた、野咲たみこへの提供曲で「カントリーガール」テイストの名曲。「NHKみんなのうた」でおなじみの「恋するニワトリ」ほか、話題曲が多いこのアルバムの中で、筆者としては「BLUE BLUE BLUE」がオススメ。個人的ランキングでも上位に入る名曲で、シングルになったのもうなずけるキャッチーなポップソング。また、和のムードがたまらない「ほおづきランプともして」はクセになるメロディラインの1曲。
「このアルバムはデビュー20周年のご褒美にヨーロッパに行って撮影をさせてもらいました。ジャケットの写真はストックホルムです。歌詞カードの写真もヨーロッパで撮りました。このアルバムからジャケットのアイデア出しをしたり、写真も自分で選ぶようになったんです。(石井)AQとの制作を本格的にやるようになったのはこのアルバムの頃です。」