文/長井英治
1972年4月25日
キングレコード
KICS-8010
今から40年前、谷山浩子が15歳の時に発売されたデビューアルバム。まだ荒井由実も五輪真弓もデビューする前にデビューを果たしていたとは、おそるべし! 通っていた中学校の近所にキングレコードがあり、作詞作曲家志望だった彼女が曲を持ち込むうちにLP盤を録音することになったのだとか。シングルカットされた「銀河系はやっぱりまわってる」は本人も所有をしていないと言うほどの貴重なシングルとなっている。まるで現代の核問題に問題提起をするかのような鋭い視点で書かれた1曲だ。たった15歳までの人生のなかで表現された世界なわけだが、その後の谷山浩子の可能性を予感させる。当時はたった1年で廃盤。長い間、幻の名盤として語り継がれた1枚である。
「初めてレコーディングしたときに「雑誌で見たのと違う!」って思いました。雑誌で見たレコーディング風景はヘッドフォンをして歌っていたのに、私のレコーディングはヘッドフォンなしだったんですよ、目の前にある大きなスピーカーがあってそこに向かって歌ったんです(笑)」
1977年5月25日
キャニオン/AARD-VARK
PCCA-00258
紙ジャケットシリーズ
2011/7/20
ヤマハミュージックコミュニケーションズ
YCCW-10131
(Blu-spec CDTM仕様)
1974年の5月に行われたポピュラーソングコンテスト(通称:ポプコン)で「お早うございますの帽子屋さん」が入賞を果たし、1975年2月にシングルを発売。2度目のデビューを果たす。そして『静かでいいな』から5年の歳月を経て発売されたのがこのアルバム。LPのA面はそれまで書き溜めていた曲からのセレクトだったということもあり名曲の数々を収録。「河のほとりに」、そしてアルバムの表題曲「ねこの森には帰れない」を収録。B面はなんといきなり組曲。理解のあるスタッフの中で制作されていたということだろうか(笑)。あまんきみこ作の童話「車のいろは空のいろ」をモチーフとした一連の組曲。ラジオドラマ風のユニークかつシリアスな世界だ。アレンジを手がけたクニ河内が声の出演もしている。谷山浩子初期の代表作のうちの1枚。
「16~19歳までに作った曲を収録した1枚です。演劇部だったので音楽劇のようなものが好きで、B面を組曲にしました。今聴いてもいい曲が多いと思います。初期の作品ではこれがおすすめです」