連載コラム「谷山浩子 Favourite Things A to Z」

J Japan

日本

私は何ごとに対しても帰属意識が薄いんですが、日本が好きで、日本に住んでいたいと思うのは日本語が好きだからです。それと、日本人はあいまいなところが多いからといって、他の国から批判されることがありますが、私は日本人のそういう気質も好きなんです。中途半端で忘れっぽくて、言うべきことを言わない灰色なところが多いと言われるけど、そこもいいんじゃないかって思うんです。

でも私の性格はそれとは全く違って、特に子供の頃は、気が強くて負けず嫌いで、口げんかでは負けたことはなかったんです(笑)。親にも理屈っぽいってよく注意されましたね(笑)。小学生のときは成績もよくて、クラスのリーダー格だったんですけど、強気な性格がたたって、クラスメイトから仲間はずれにされたことがあったんです。でも、そのころの私はそんなことに物怖じしないくらい強気だったから、仲間外れにされても悲しいとは思わずに、「そっちがその気なら」って感じで怒っていましたね(笑)。

今でも、負けず嫌いではあります。基本的に、相手が優しく接してきて、下手に出られた場合は、絶対に強くは出られませんが、相手が少しでも上から目線で、理不尽な態度で来た場合は、勝気のスイッチが入って、黙っていられず、その上に行こうと思ってしまいます(笑)。

K Kanji

漢字

字を読めるようになる前から漢字が大好きでした。意味が分からない段階で見る漢字が好きなんです(笑)。昔、親戚の家に泊まりに行ったとき、ふすまに書かれていた漢字(漢詩か何かだと思う)が気に入って、寝るときにずっと見入っていたのを覚えているんです。まず、漢字の形に惹かれるところも大きいんですが、中にはバランスが悪い漢字もあって、システマチックではないところがいいんです。特に好きなのは繁体字。複雑な、画数の多い漢字です。今、中国では省略した簡体字を使っているんですが、昔は画数の多い難しい漢字を使っていたんですよね。今も台湾や香港では使われています。漢字は日本に入ってからも変化したらしいですが、昔は日本でも難しい漢字を使っていましたよね。画数の多い漢字を見ると郷愁に似た切ない気持ちがわき上がってきます。谷山浩子という感じ漢字は少し画数が少なすぎるかな(笑)。画数の多い漢字の名前に憧れます(笑)。でも、そういうわけか、どうかは分からないんですが、昔から中国が漠然と好きでした。「三国志」を読んでさらに興味を持ちましたし、子供の頃に行きたい外国は、中国とエジプトでした。実際に、広州・桂林に観光で行ったことがあります。私は世界中の言葉が好きで、これまで、フランス語、イタリア語、ロシア語、中国語等々の入門書を買って勉強したことがあるんですが、いちばん長く続いたのは中国語でした。でも聞き取りが難しくて、途中であきらめました。中国語は微妙な発音が聞き取れないんです。

私が興味のある言葉の国の基準は、その国の食べ物が辛いか辛くないかというのが大きいかも(笑)。わたしは辛い物が苦手なんです。だから韓国とかタイとかインドには興味がない。食べ物が辛い国には一生行かないんじゃないかって思うんです(笑)。