連載コラム「谷山浩子 Favourite Things A to Z」

このコーナーは一年をかけて、谷山さんお気に入りの物事をアルファベットごとに紹介していきます。谷山さんの引き出しの多さ、それぞれに一家言をもっていることは、広く知られているところ。どんなものが紹介されていくのか、乞うご期待。

A Aibou

「相棒」(テレビドラマ)

わたしは元々、刑事ドラマや法廷ドラマなどのサスペンスドラマが大好き、よく見ていたんです。でも「相棒」は最初のほうは見ていなかったんです。最初に見たのは2007年のお正月スペシャルの「バベルの塔」という回の再放送だったんですが、たまたま見たその回のクオリティの高さにとにかくびっくりしたんです。「これがテレビドラマなの?」って。特に演出に感動しました。その後、少し経ったくらいに、家のテレビが壊れたので、地デジのテレビに買い換えるために秋葉原に行ったとき、ついでに足を延ばしたDVD売り場で初めて「相棒」のソフトを買ったんです。それから本格的にはまっていき、次々にDVDボックスを買い集め、今では、プレシーズンからシーズン9まで全部のDVDを持っていて、すべて3回ずつ見ています(笑)。新しいシーズンが始まるたびに、誰が新しいキャストとして加わって、どんな内容になるのか、すごく気になります。

映画「相棒」の中で岸部一徳さんが死んだときは凄くショックで、そのまままっすぐ家に帰る気がしなくて、なぜか、ひとりでカラオケに行ってしまったんです。年末の深夜、しかもそれがわたしのカラオケデビューでした(笑)。

B The Beatles

ザ・ビートルズ

わたしの音楽の土台になっているのは、ビートルズです。中2の5月に初めて『アビーロード』のレコードを買ったんです。それまで、ビートルズは、ラジオから流れているヒット曲として知っていたんですが、それほど興味はありませんでした。聞いてみようと思ったきっかけは、好きだったクラスの男の子がビートルズファンという噂を知ったからなんですが、レコードを聞いたらそれどころではなくなってしまって(笑)。最初の「カム・トゥゲザー」から心臓わしづかみ状態で、次の日学校を休みました(笑)。サウンド、声、曲、アルバム全体の世界観、すべてに惹かれました。何よりもそれまで聞いてきた音楽に比べるとすごく自由な感じがしたんです。ビートルズの中でも『アビーロード』は特に自由なアルバムだと思うんですけど、「音楽はこれくらい自由でいいんだ」って気付かせてくれたんです。歌が歌の形をしていなければいけないという枠が取り払われて、歌の題材も何でもいいんだというところに目を開かされたんです。

『アビーロード』の中ではジョージ・ハリスンの曲も好きですが、やはり、レノン=マッカートニーの曲が好きですね。特に好きな曲は「カム・トゥゲザー」「アイ・ウォント・ユ-/シーズ・ソー・ヘヴィー」「ビコーズ」、それと最後のメドレーです。ポールの曲で、わたしが作ればよかったんじゃないか、と思う曲はたくさんあります(笑)。「フォー・ノー・ワン」とか、『リヴォルヴァー』の頃のポールはいい曲が多いですよね。

昔ライブで、『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』の「シーズ・リーヴィング・ホーム」「ビーイング・フォー・ザ・ベネフィット・オブ・ミスター・カイト」を歌ったことがあるんですよ。

CComputer

コンピュータ

わたしが最初にコンピュータを買ったのは1980年のことだから、今から32年前。当時はまだパソコンとは言わなくて、マイコンと呼ばれていました。どこで買ったのかは覚えていないんですが、いきなりお店に行って「これください」と言ったんです(笑)。当時は、ディスプレイと本体で30万円くらいだったでしょうか……。確か、ディスクドライブはすごく高かったので買えなくて、当時はカセットテープを使って、保存やロードをしていました。

理系でもなく、コンピュータの勉強をしていたわけでもないわたしがコンピュータを買ったのは、ただ当時人気のあったインベーダーゲームをやりたかっただけなんです(笑)。お店でやるには下手で恥ずかしいし、100円がいくつあっても足りないなと思っていたところに、知り合いの人から「コンピュータを買えば家で好きなだけゲームができるよ」と言われたので、雑誌「アスキー」に載っていたベーシックのプログラムリストを一行目から打ち込んでゲームをやっていたんです。でも必ず打ち間違えをしていて、ゲームをしていると途中でよく止まってしまいましたね(笑)。一通りゲームで遊んだあとは、コンピュータに飽きてしまって、放っておいたんですが、数年後に今度はアドベンチャーゲームにはまったんです。紙の絵本は一方的にこちらが見るだけのものですが、アドベンチャーゲームは、自分が何か話しかけて、それに答えて展開が変わっていく。いまのゲームと比べると技術的には全然たいしたものではないんですが、とにかく衝撃でした。

当時のアドベンチャーゲームは輸入物がほとんどで、コマンドが選択式ではなく文章で、しかも半角カナ入力だったんです。わたしがカナ入力派になったのはそのせいですね(笑)。でもいまわたしが使っているiPadはカナ入力ができないんです……。

いままでわたしが使ってきたPCは、初代がPC-8001。それからFM77、PC-9801VM2、ノートの走りだった16π(パイ)、PC-9801RA、FM TOWNS……だんだん記憶が曖昧になっていくんですが、それでもノートを含めて十数台だと思います。いまのコンピュータの進化は昔に比べて緩やかになっているから、長い間使えるんです。最近はiPadばかり使っていて、PCを使うのは主にニコリコムのパズルをやる時です(笑)。iPadでは使えないFlashを使ったサイトなので。

そういえば、「Oh!FM」というパソコン専門誌で、長い間「谷山浩子の気絶すんぜん☆なのら~」という連載もっていたんです。元々、「Oh!FM」の一読者だったんですが、投稿コーナーに「仕事をください」と書いたハガキを出したら、本当にコラムをもつことになって(笑)。ここからわたしのファンになってくれた方も多いみたいです。